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iPS細胞でパーキンソン病治療 治験で有効性を確認

iPS細胞を使ってパーキンソン病の新たな治療法を開発している京都大学の研究チームは、治験の結果、安全性と有効性が示されたと発表した。健康な人のiPS細胞から作った神経細胞を7人の患者の脳内に移植して効果を調べたところ、移植した細胞が「ドーパミン」を作っていることを確認。患者に健康上の重篤な影響はなく、4人で症状の改善がみられたという。

2025年度内にも製薬大手が国に製造販売の承認を申請する見通し。承認されれば、iPS細胞を使った再生医療製品としては、大阪大発のベンチャー企業による心筋シートに次いで2例目となる。

参考:NHK、京都大学、朝日新聞、読売新聞、厚生労働省

<ミニ知識>

◎パーキンソン病は「ドーパミン」という神経の伝達物質を作り出す脳の細胞が失われることで、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病。厚生労働省(令和5年度)の統計によると、国内にはおよそ25万人の患者がいる。現在はドーパミンを補い症状を抑える薬物療法などが行われているが、しばらくすると薬が効きにくくなり、根本的に治療する方法がない。

◎iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、人の細胞を少しの因子とともに培養して人工的につくられる細胞のこと。骨や神経、筋肉や血液ほか、さまざまな組織や臓器の細胞に変化できる能力と、ほぼ無限に増殖する能力をもつ。まさに万能細胞として、病気の原因の解明や再生医療(壊れた体の部分を治す技術)に役立つと期待されている。2006年に日本の山中伸弥(やまなか しんや)教授が世界で初めて作製に成功して、2012年にノーベル賞を受賞した。

英語では「induced pluripotent stem cell」と表記。
induced: 誘発された
pluripotent: 多能性の
stem cell: 幹細胞